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曲線軌条(レール)の半径(曲率)の測定

円軌道のレールの半径は円の中心が分かれば巻尺等で簡単に測定できますが,障害物があったり,トンネル内部のような場所では円の中心が分かりませんから,正確に半径を調べることは困難です。
測定方法として,半径の分かっている円形レールと並べて比較してみることも考えられますが,手間も大変ですし,半径が一定でない緩和曲線では大雑把な値しか得られません。

そこで,図形的な関係から半径を求めることにしました。途中は省略しますが, 計算結果は次のようになります。

右図で半径Rの円周上に長さLの直線(茶色)を引きます。次に,直線の中央と円周の間の距離(青色)Dを求めると,

の関係が成り立ちます。
DがRに比べて十分小さいときには,近似計算で
           と して差し支えありません。

たとえば,長さL=100cmの定規を円形レールに当て, 中央50cmの位置でレールとの距離がD=1cmであったとすると, 上式に代入して円形レールの半径はR=1250cm=12.50mとなります。このとき,D=1cmはR=1250cmに比べて十分小さい値ですから近似計算で十分です。

曲率測定器の製作

上の関係式で曲線レールの半径を測定するには糸を張って 直線Lを作り,ノギスで距離Dを測ればよいわけですが,いちいち糸とノギスを使うのは手間が大変です。そこで,簡単に測定できる器具を作ってみました。

(1)  右写真のように,長さL(=50cm,100cm200cmに可変可能)の真鍮の厚板に測定棒を直角に取り付けて距離Dを読み取る構造です。

曲率の測定法

横棒と測定棒の先端に取り付けられている3箇所のL型金具をレールに接触させた状態で測定棒の位置から,Dの値を測定します。

下写真,測定棒は90°回転させて折りたたむことが出来ます。2箇所のネジは,測定棒を測定位置に保持したいときと,測定棒を90°回して折りたたむ時に使います。
長さ1mの真鍮板の裏には補強材がネジ止めされています。(測定棒を回転させたときネジの頭に接触しないように皿ネジを使用しています。)

(2) 測定値D〔cm〕からR〔m〕を求める計算は

L=50cmに設定して測定したとき,  R=3.13/D
L=100cmに設定して測定したとき, R=12.5/D
L=200cmに設定して測定したとき, R=50.0/D  となります。

製作費 ハタガネ(504円),真鍮板,ネジ類も含めて製作費合計約2000円,製作時間約10時間

余談 テレビ の番組で保線作業の現場が映り上記の方法と同じやり方で糸を張り曲率を調べる作業をしていました。
必要に迫られてこの方法 を考えたのですが,実際の鉄道も同じ方法で測定していたのには驚きました。
・・・実際の鉄道は「測量」かと思っていました。・・・

先日,技功舎の古沢氏に上記の測定方法をお話ししたところ,古沢氏はずっと以前に雑誌「とれいん」にこの方法で測定することを書かれていることを知りました。
私は「少年工作」や「子供の科学」以降,「とれいん」を含めて模型や鉄道に関する雑誌を読んだことがなく・・・雑誌は大型模型の製作記事が無く,価格も高いと思っていましたので・・・,このとき,本格的な5インチゲージの作り方が雑誌に載ることもあるのを知りました。

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