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SSシリーズ欧州形 蒸気機関車

 1  車台部品

ピストン,ロッド,バルブギャ,動輪は一体となって動きます。円滑な運動が行われるためには主台枠の精度が大きく影響します。
車輪配列0-6-0の機関車の特徴
製作した機関車は先・従輪の無い0-6-0の単純な車輪配列で初心者の製作に適しており,車輌重量はそのまま粘着重量として有効に利用できます。

この形式は車長の短い小型機関車になるので急カーブのある小さな模型鉄道でも走行させることができ,車輌の整備や運搬の面でも取り扱いやすい機関車になります。

SUECHIKA/SSシリーズの機関車は0-4-0タイプと0-6-0タイプとが車輪の数以外は同一の設計なので,ロッドの動きがより際立って見える0-6-0にしました。
台車枠の製作
台車枠は機関車の全部品が取り付けられる主要な構造体です。部品数は6種10点とそれ程多くはありません。

電気機関車や気動車は動力の伝達機構が単純なので精度が悪くても動きます。
一方,蒸気機関車は動力機構が完全に一体となって動くので全体の平行度,直角度が性能を大きく左右する筈です。この点に注意して精度のよい台車枠を作らなければなりません。
下写真の部品を作るだけで100ヶ所近い穴開けと28箇所のネジ切りをしていますが,満足できる位置に穴があけられたのは数えるほどしかありません。

(上写真) 台車枠を構成する全部品を分解した状態です。真鍮色の軸箱守はリベット取り付けなので外してありません。

1板台枠 2前・後端バリ受 3横バリ 4ストレッチャー 5煙室サドル 6ボイラー受け金具
板台枠・・・切断加工が済んでいましたが更に2枚重ねで成型し,端バリ受,煙室サドル等は正確に直角がでる位置に穴をあけ,ネジを切りました。
煙室サドルのネジ止め穴があいてしまえば,再組立の際には簡単に直角をだすことが出来ます。
*1


軸箱守の取り付け ・・・キットに付属品していた「軸箱守取り付けジグ」を使います。
未熟な製作者でも高い精度での取り付けが可能 になります。他の製作にも応用したい方法です。

ジグを軸箱守に嵌めて正しい位置を決めますが,ジグを反転させたり,裏側から嵌めても滑らかにスライドする精度に出来ました。初心者としては満足できます。下記


7軸箱
写真ではジグが2つあるように見えますがは説明のためにジグとジグを嵌めた写真とを合成してあります。
動輪と軸箱
動輪は直径80mm,鋳物製で旋盤がなくても製作できるように加工済みです。

8動輪 9車軸 10軸箱
右の写真は車軸と軸箱,
クランクピン(部品番号省略)を取り付け,位相合わせが済んだ第1〜第3動輪です。*2

動輪の位相合わせ・・・車輪と車軸は「ロックタイト」で接合するのが普通のようですが,接合が悪 くて製作途中で位相が狂ってしまったので以前から行われているテーパーピンで固定する方法に変更しています。
左写真:テーパーリーマを通し,3mmのテーパーピンを打ち込んで固定した車輪と車軸です。(テーパーリーマーというものがあるのを知りました。)

これで位相が狂わないようにはなりました。再度,車輪を外すのが困難で軸箱等の補修が必要になったときは大変です。やはりロックタイトの方が良いのかもしれません。
バネ装置
3軸の機関車では車軸にバネ装置が無いと不都合がおこります。

その反面,動輪は連結棒で繋がれているので,6個の車輪が同一平面(=レールの平面)上にないと回転に引っかかりが生じます。

11軸箱守控 12スプリング 13スプリングピン

バネ装置・・・構成は2本のスプリングピン13を軸箱に捻じ込み,軸箱守控11とスプリング12をピンに通してワッシャーとナットで止めます。

右側の写真は斜め下から見た様子ですが,車体の重量は白矢印の方向にかかりスプリングを押し縮めます。この構造は「下バネ式」と呼ぶようです。 軸箱守控には車輌重量の1/6以上がかかるので薄い板では弱く,棒状の真鍮鋳物を削っています。
1.ライブスチームはどのような部品を製作して,どの様に組み立てればよいのか。可能ならば一から自分の手で作ってもみたい。・・・・現在のようなネット社会も存在せず,平岡幸三氏著「生きた蒸気機関車を作ろう」などの優れた書籍類も発刊前だったので,その手段がまったく分かりませんでした。これならば何とかなりそう・・・・と珊瑚模型店で 見かけた台車部分がこの機関車製作に踏み切るきっかけです。

2.高価な市販ライブスチームではなく,「自分の作品」と言えるものを手作りすることが可能か。・・・・多くの方が一度はお考えになる事ではないかと思います。
このことについて,末近久之氏が初心者向けに設計されたライブスチームの”全部品”を並べてご覧いただくことによって,「この部分は製作できる。この部分は無理かな。」と判断していただけるかも知れません。
もちろん,模型製作では「今日は無理でも明日は作れる」ということはよくあることで,意志と努力があれば作れないはずはありません。

3.既に出来ているものを分解してご紹介するので,ボイラー内部などブラックボックスになっている箇所もあります。可能な範囲で分解して部品番号を付け「陳列展示」の形でご紹介します。
「罫書きをしてポンチを打つ」,「銀ろう付けをする」等と言われても何のことだか分からない私でしたから,部品1個を仕上げるのにも大変な時間と労力を費やしました。一方,作る前には複雑に見えていた機関車も分解して並べてみると「たったこれだけの部品」という感じです。

(軸箱守)出来上がった部品を組立てていけば完成するキットではなく,旋盤,フライス盤の粗加工のみが済んだ部材を更に加工して作るキットです。したがって初心者が失敗しやすい「落とし穴」も随所にあります。
軸箱守のリベット付けという初心者には困難な「落とし穴」に対して,よく考えられた対処法が提供されている,と感じた「軸箱守取り付けジグ」(=私のつけた名前)です。

 

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