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SSシリーズ欧州形 蒸気機関車

 12  実用部品

前ページまでの部品1〜119は多くが模型部品で実用 性のないものも含まれています。小型化したのでは機能が損なわれる汽笛などは実用部品として一定以上の大きさと形で作ります。
汽笛の製作*1

汽笛は径16mmの真鍮パイプを使い,長さ(=歌口から閉口端までの気柱の長さ)が100mmと125mmの閉管の笛を2本並べた形に作りました。

上写真 (左)汽笛と汽笛への蒸気配管 (右)汽笛弁84-85と排水管(※印)=蒸気配管中の凝結した水を排出します。

笛の振動数(=基本振動)は真鍮パイプの長さに反比例しますから,2本の笛の振動数の比は4:5(=100:125)となり,2つの音は和音になります。

振動数は高温の蒸気で鳴らすことや開口端補正(補正値は1cm弱)があるので実際の値は5:4から多少ずれます。

汽笛の取付け場所は右側の水タンクの下に適当なスペースがあったので,この場所に納まる形状に笛と取り付け金具を作り,機関車の機器らしく見えるようにしました。

右写真 斜め下からタンクの下を覗き込むと汽笛が見えます。印:蒸気配管の排水口〈ネジ蓋〉

120汽笛    121汽笛取付金具
汽車の汽笛

「蒸気機関車の汽笛」という玩具の笛を買ってあったので,この笛について調べてみました。

歌口から管の底(閉口端)までの長さが98mmと65mmに作られた2本の閉管が並んでおり,吹くと同時に2本が鳴って汽笛のような音が出ます。

管の長さが同じであれば,閉管の基本振動数は開管の1/2(の低音)になるので,閉管の笛の方が長さを短く(笛を小型化)することができます。

この笛の常温での振動数は開口端補正を無視した場合,869Hz(計算は1参照)と1310Hzで鳴るので,振動数の比が2:3(完全5度)の和音になります。

一方,製作した機関車の汽笛は同様の計算で,681Hzと851Hzなので振動数の比が4:5(長3度)の和音が出ることになります。

上写真 「蒸気機関車の汽笛」と製作した汽笛です。各々の管に記した数字は振動数を調べるための閉管部分の長さです。

笛の音色は木管と金管の違い,開口端補正,倍振動の発生など,いくつかの条件に左右されると思いますが,単純に笛を吹いて聴き比べてみました。

振動数の比が2:3の笛は2つの単音の合成という感じでどちらかと言うと音域の狭い「平面的な音」に聴こえます。一方,振動数の比が4:5の笛は「うなり」に似た低い音程の「第3の音」(振動数は注2参照)が影響するのか,あの哀愁を帯びた汽車の汽笛により近い感じがするように思います。
 
中間引き棒

蒸気機関車の運転は機関車の後に運転用の車輌を連結し,その車輌(運転用ボギー車)に乗って操作します。

走行させる上では両者は一対の車輌とも考えられ,テンダー機関車と炭水車の様に連結器ではなく中間引き棒によって連結します。

この中間引き棒は普段は外しておきます。簡単に外せるようにピン1本で取付けます。また,連結部分の形状は「
そばな高原鉄道標準連結器」の規格に従っています。

122中間引き棒   a 水平動支点(軸) b 上下動支点(軸)
 
ボイラー圧力テスト用品

3インチ半以上のゲージは乗用鉄道に一歩近づくのでボイラーも大型になり,安全には特に気を付けようと思います。

暴走,脱線などを引き起こす機械的部分は,ある程度事前に予測出来ますし,注意していれば避けられる場合がほとんどです。

一方,高温,高圧のボイラー事故は非常に危険であるし,事前に不具合を察知するのは難しいので頻繁にチェックすることが最善策と考えました。

ボイラーの耐圧テストや安全弁の調整を気軽に行なえる条件として,専用の測定器具を常時使える状態に整えておくのが良いと思い,機関車と一緒に保管することにしました。

写真 圧力計は直径65mm,最大圧力1.6Mpのものを購入しました。接続用のパイプは長さ1m,径5mmの銅管を曲げ加工しました。ボイラーのプラグ類はすべて7mmの旧JISメートル細目ネジです。現在ではこの規格のネジは入手が困難で圧力計や配管に通常使われている管用ネジでは接続出来ません。必要な箇所のネジ類は自分で切って作らなければなりません。
 

SUECHIKAライブスチーム”SS”シリーズ 欧州形蒸気機関車

そばな高原鉄道 1号・蒸気機関車  (完成写真)

1*2よく知られている関係ですが,開口端補正を無視すれば管長ℓの閉管の気柱の基本振動は波長をλとするとλ=4ℓであり,気温15℃のときの空気中の音速Vは V=340.5m/s なので
長さ ℓ=98mmの閉管の基本振動数 f は
 振動数=(音速÷波長) の関係より
     f =V÷λ=(340.5×103)÷(4×98)=868.6Hz となります。

2*3「第3の音」が発生するのは振動数の異なる2つの波の「重なり」によるもので「うなり」の発生と同様に考え,単位時間あたりの「うなり」の回数の式より「第3の音」の振動数 F は
     F =851-681=170Hz  となります。
この振動数170Hzは,ちょうど681Hzよりも2オクターブ低い音
計算:681×(1/2)2 =170Hz〕になっています。微小な音量ですが吹く強さや長さによって倍振動の発生が微妙に変化することも加味され,「第3の音」が汽笛に余韻を 与えるのではないかと不確かな想像をしています。

”SSシリーズ欧州形蒸気機関車”のおわりに
個人的な好みもありますが,文章で綴る製作記よりは全部品をそのまま「陳列展示」してご覧いただく方が限られたページ数に対しての情報量が多いと考え,ライブスティーム(SSシリーズの機関車)がどのような部品でどんな構造に組み立てられているかを12ページにまとめてみました。

これまでにご覧いただいた部品の種類は123になります。ボイラーと水タンクの排水口にはそれぞれ排水管(写真には写っています ・・・)が付けられるので,ネジ,ピン,ワッシャー,等を除いた総数123+2-圧力計=124種類の部品が揃えば1台の機関車が出来上がることになります。

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