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 1  つぼみ堂模型店

軌間32mm(Oゲージ)の鉄道模型に出会ったのは小学校4年生の時,つぼみ堂模型店だった。
現在とは違って,小学生の玩具(遊具)といえば, ブリキ製の玩具とかバットや布製グローブが最人気商品という時代だから,鉄道模型という,「おもちゃ」とは違う「実物そのもの」がある・・・という驚きは今でも 鮮明に覚えている。

その翌日から,学校から帰るとランドセルを放り投げて,「模型」を見に行く生活が始まった。ときには工作好きの友達を誘って行った。
 
欲しい欲しいと母にねだっても小学4年生が買って貰える代物ではない。

しかし,一番安いアルミ鋳物の客車の台車をやっと手にすることができた。はじめて「模型」を見た日から何ヶ月も経った日である。

買って貰ったのが車輪と台車だけといっても,いま考えると母の家計のやりくりに影響を及ぼした筈だし,「模型は買うものでなく,自分で作るもの」という「模型」に対する私の考え方の原点にもなっている。

以前,東京/神保町で大正出版刊「都電の消えた街」という写真集を買った。
その中に写真を撮影された諸河 久氏の「大塚仲町交差点は....写真の右側で開業していたT模型店 ....印象が深い。」との添え書きがあり,子供の頃の生活の一部であったあの店を懐かしむ方が居られるのを知って,何故か非常に嬉しかった。

「つぼみ堂」という名前は,長い間記憶の外にあったがこの「T模型店」の文字を見た一瞬に蘇った。

現在,模型店はいくらでもある。でも,私が子供の頃知っていたのは「つぼみ堂」と交通博物館内の売り場だけである。ことによると「模型店」は戦後の東京にはほとんどなかったのかもしれない。

(写真はつぼみ堂で部品を少しずつ買ってもらって組み立てた機関車/上の写真は6年生の頃のEB542号機。下の写真は中学生の時のED192号機,いずれもラッカーを筆塗りしてあり,台車の塗色は機械油によって剥げている。)
2003.9.記

 

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