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乗用車輌/客車そばな
車輪の製作 市販部品の使用を減らして自作中心に切り替えるため,車輪は自給自足にする方針です。このページは旋盤/初心者の車輪製作記録です。余談1

(1) 材料

乗用車輌の車輪は実用本位とし,材料の入手と製作が楽なプレート車輪です。

材料として直径85mmの快削鋼の丸棒を輪切りにした薄い円板(右写真)を購入し,ボギー車2輌分(16枚)をまとめて製作します。
(車輪16枚はやや多い数ですが,旋盤使用に慣れることも目的としています。材質もSS400での製作は経験済みなので今回は快削鋼にしてみました。)

(2) 車輪の形

自分で作るとなると,バックゲージも含めてどのような形が良いのか迷うところです。

過去に購入した車輪を測ってみると製造元によって多少形が異なっています。
この事から形状に関しては許容範囲が広いとも考えられますが,基準そのものは厳密に決めておくべきなのでスケールに近い右図の形とし,そばな高原鉄道の規格としました。

この形の採用に伴ってバックゲージは119mmになります。(手元の)市販品より もフランジが小さく幅も細めです。注2

(3) 製作工程 切削手順は<生きた蒸気機関車を作ろう>に記された方法に準じています。余談1

1 車輪内面

端面削り


材料切断面を目的の平面に仕上げます。

2 車輪外面

端面削りと輪心削り

装飾と取付穴のために4mm掘り込みます。

3 車軸穴

車軸の穴あけ

9.8mmのドリル穴を10mmのリーマーで仕上げます。

 写真

左の工程3まで終わりました。

 

4 ヤトイの製作

フランジと踏面を削るためにはヤトイが必要です。軟鉄棒で作りました。

(左図)棒の端から車輪の厚さ弱まで直径10mmに削ります。

( 上右図)次に,8mmのネジ留め用の穴をあけます。
このヤトイに車輪を嵌め,ワッシャーとネジで固定して5の工程に進みます。
(このヤトイの形は工具と材料の都合から「上記の書籍」とは異なる我流です。)

ヤトイ写真

ヤトイはうっかり三爪チャックから外すと使えなくなります。

5 車輪外径

外径削り

ヤトイによって車輪の中心軸が偏心せずに製作できます。

 

6 フランジと踏面の削りだし

車輪踏面とフランジは円錐面になりますが,初心者がこの面をいきなり削り出すのは困難です。そこで自己流の手順で作ってみました。

図の左から順に黄土色の部分を削りま した。

複式刃物台の角度3°と20°は周囲の壁との距離から決めました。
(一番右側の図の数値は削りとる量の計測用で,この微小値から正し く角度を決めるのは困難です。)

削り取った内角90°の「線条」を目安にして斜めの箇所を削り取ります。

 写真

右中央の図の状態まで削り終わりました。
車輪の形が「読める」ので斜めに削るのが楽になります。

 

7 仕上げ

姿バイトで削る

車輪性能に関わる曲面は姿バイトで削りました。

8 車輪ネジ穴

車輪は直交する2方向から4mm止めネジで車軸に固定します。

9 シャフトカラー

15mm真鍮丸棒に10mmの穴をあけ,2本の3mm止めネジを付けてシャフトカラーが完成しました。

10 カーブ対策

車輪は踏面勾配によってカーブを楽に回るように工夫されていますが急カーブでは十分な対応ができません。
そこで車軸に固定する車輪と固定しない車輪を設け,固定しない車輪の位置決めにシャフトカラーを使います。

 

(4) 完成した車輪と車軸

(写真) Aタイプの車輪は車軸にネジ留めされています。Bタイプ の車輪は車軸に固定されておらず,車軸と無関係に回ります。

1本の車軸の左右の車輪は一方がA, 他方がBになっています。カーブ通過の際にはAB間に自由に位相差が生じますから車輪とレールとの間のスリップが無くなり摩擦抵抗を軽減させます。
この方法を庭園鉄道特有の急カーブ対策とします。

 シャフトカラーの代わりにEリングを使うことも可能です 。自作ではほとんどが「個性豊かな」車輪なので,汎用性と融通性があり,耐久性の点からもシャフトカラーに分があります。

 

余談1 <久島諦造著/ミニ旋盤を使いこなす本/誠文堂新光社>,<平岡幸三著/生きた蒸気機関車を作ろう/機芸出版社>を読んですっかり旋盤で作れるような気になってしまいました。 これだけ優れた本を読んでそのまま棚に飾っておくことは出来ません。
どんな機械かも知らなかった旋盤やフライス盤でしたが,なんとか機種を決めて購入しました。現在も本と首っ引きで工作法を勉強中です。知識や技術は一朝一夕で身に付くものではありませんが,車輪を手始めに少しずつレパートリーを増やそうとしています。
特に車輪はすべての車輌に付いている”肝心要の部品”なので,車輪の製作こそ模型自作の出発点です。

2  この形はイギリスのメーカーのWebサイトと<渡辺精一著/ライブスチーム/誠文堂新光社>に記載されており,インチをミリに直すと両者はほぼ一致しています。 日本ではいくつかの理由で少数派に属する形かも知れません。

材料費 (1輌,車輪8個) 快削鋼 (8枚) 約7600円  軟鉄棒 約650円  真鍮棒とネジ約200円        合計 約8450円 (1車輪当り約1060円)

 

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