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駅舎小屋/構想と設計

(1) 建築場所の条件から決まる小屋の形と基礎

建設場所・・・唐松林の中の傾斜地(勾配1/4程度)に建てる小屋なので,基礎の位置と建物の形に制約があります。
床面積を建築確認が不要な5.0m2とし,唐松を2本だけ伐り根の掘り起こしが最小限になる場所に建てます。

(左写真)木を伐り下草を掃った駅舎建築場所の斜面です。手前のコンクリートの台は高架線1の終端で,線路をこの位置から駅舎内のホームに続ける計画です。

屋根・・・傾斜地に建てると床が高くなり,屋根からの落雪処理は容易です。
屋根の勾配を強く(勾配3/4)し,棟木を南北方向にした切妻屋根にして雪を東西方向に落とします。
日射量の少ない北面の屋根上は雪が長く残り,北側への落雪は堆積して春遅くまで融けません。


基礎・・・寒冷地の建物の基礎は凍結に備える必要があります。凍結深度は40cm位になるので独立基礎を多数作るのは不経済です。
傾斜地形に合わせて上段Aと下段Bの2つに分割した基礎にしま した。
(上図)
駅舎の建設場所の地形と屋根の形,基礎配置のプランです。

 

(2) 単純な形の小屋を2×4工法で建てる

鉄道施設らしく作りたいのですが,実際の駅舎をスケールダウンしたのでは使いものになりません。駅としてどのような使い方になるのか考えてみました。
先ず,車輌乗降のためのプラットホームが必要です。それと共に車輌の動きや鉄道景観を眺める展望窓があり,ゆっくり談笑できる待合室として利用ができれば十分です。

デザインばかりを優先して使用目的と合理性を軽視するのは好まないので,「山奥の鉄道小屋」のイメージで 2×4工法に向いた単純な形の小屋(駅舎)にすることにしました。(左図)駅舎平面図

2×4工法の長所は規格化された数種の材料のみを使い,木材カットは単純,端材も少なく,技術的には素人でも作れることだと思います。
ただ,手抜きをしていい加減なパネルで作ると粗雑感が拭えないので,綿密なパネルの設計と誤差を1ミリ以下にした精度で材料をカットするように心掛けます。
2×4工法が軸組み在来工法よりも作りやすいと私が感じた点は
  ●柱と壁の部分を一体化してしまって数枚のパネルで組み立てる方が簡単
  ●材木のカットやパネルの組立に多少の不都合が有っても作れないことはない。
の2点です。
この駅舎の場合,パネルに使う合板がそのまま室内の壁になるので製作の精度は軸組み工法と同レベルまで気を配ります。適当に作ったのでは壁の突き合わせ部が上手くいきません。パネルの設計も完成後の状態を念頭にミリ単位まで予想して寸法を決めました。
また,木材は性質上伸縮や狂いが出るのは避けられません。使う場所に合わせて材料を選別して欠点をカバーするように使います。

 

 (3) 初めて作るアスファルトシングル葺きの屋根

「自作中心」という事は,ほとんどの場合新しいことに取り組む要素が含まれています。今回は屋根葺きという未経験の作業を乗りこえなければなりません。
どんな屋根材があり,どんな構造にすればよいのか,ホームセンターに揃っている材料だけで葺くことができるのか,すべてのことが白紙です。

こんな時の打開策はwebサイトの検索です。
早速調べ,日曜大工で屋根を葺くのはそれ程困難ではないこと。アスファルトシングルと呼ばれる屋根材を使うのが簡単であること。更に,その施工方法の概略も分かりました。
設計には現物の規格と材質を調べることも必要です。
試験的にアスファルトシングルを1束購入してみると梱包用紙に詳細な施工方法が記されていました。
アスファルトシングルのサイズから屋根の形を決定し,必要枚数やカット位置など設計に必要なことが現物と説明書とから分かりました。
また,アスファルトシングルの曲げや切断の難易度を知ることも重要で,現物に当ることで疑問点が解消しました。
(上図)屋根断面図

1 屋根葺きの設計で最大の難関は別の点にありました。それはアスファルトシングルをシングル釘で止めると釘の先が厚さ12mmの野地板を突き抜けて裏側(天井側)に出てしまうことです。
シングル釘は短いものでも25mmあり天井板によって突き抜けた釘の先端を隠せばよいのですが,古い木造駅舎の感じは天井に垂木が見える方が格好が良く,天井板で
垂木を隠 してしまうのは勿体ない話です。

天井張りをする場合の材料の検討も含めていくつかの解決方法を試みました。その結果,16mmのステンレス/トラスネジをシングル釘の代わりに使うことにしました。このネジならば野地板の裏まで突き抜けません。
(上写真) トラスネジを使用して屋根を葺き,野地板がそのまま天井板を兼ねています。室内だけでなく,ガラス窓越しからも軒先の天井が目立ちます。

 

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