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 19  京浜急行・逗子線の3線軌条

Google マップで見た線路

そばな高原鉄道は3線軌条なので,実際の鉄道に3線軌条があればどの様に造られているか,使用形態も併せて調べてみたいと思っています。
そばな高原鉄道の3線振り分け分岐器は箱根登山鉄道の3線分岐器を参考に製作しています。

先日,朝日新聞出版から刊行された歴史でめぐる鉄道全路線/大手私鉄「京浜急行」(2010.10.17発刊)に京浜急行・逗子線の3線軌条の記事が載っていました。
この3線軌条は金沢八景駅近くの東急車輛製造からJR・逗子駅まで,狭軌の車輌を回送する目的で標準軌(京浜急行線)に狭軌の線路が3線軌条の形で敷設されていることが記されています。

箱根登山鉄道の3線軌条は全線を目視することが出来,ホーム,道路等から写真撮影が可能です 。

一方,記事を読むまでは逗子線に3線軌条があることはどこかで聞いた様な気がしますが,一企業の専用線と接続されている特殊なもので実際に見ることは不可能と思っていました。

逗子に行く際はいつも横須賀線を利用し京浜急行を利用することが少なかったことも誤解の原因です。

記事にあるように,金沢八景駅から神武寺駅までの長い距離が3線軌条であればホームや道路から観察できる所も多い筈で跨線橋や踏み切りを含めて観察出来そうな場所をGoogle マップで調べてみました。

Google マップの「航空写真」は想像を上回る驚くべき検索手段になり,標準軌,狭軌,3線軌条を明確に識別することができます。もちろん,遮るものが無い所では分岐器の数まで数えられます。

それならばGoogle マップで箱根登山鉄道も調べられると思いましたが,小田原から箱根にかけては逗子や横浜の市内とは違って識別できるレベルの詳細画面にはなりませんでした。

補足:Google マップの航空写真はプライバシーの問題もあると感じています。適正な利用を心掛ける必要があります。

京浜急行・逗子線に併設された〈東急車輛製造〉の回送線


Google マップの航空写真で下調べをした後,京浜急行・逗子線(金沢八景-新逗子)に出かけました。

逗子線の3線軌条区間は上図のようになります。金沢八景駅の北にある東急車輛製造からのレールは(3線軌条)は金沢八景駅で逗子線(標準軌 )に合流し,ここから上り線側レールが3線軌条になります。

その後,六浦駅を経て神武寺駅まで3線軌条は続き,神武寺駅ホームの手前でJR横須賀線に通じる連絡線(狭軌=1067mm)と新逗子駅に向かう京浜急行線(標準軌=1435mm)とに分岐します。

東急車輛製造から金沢八景駅間の3線軌条

(写真・左)横浜製作所から出た3本の線路は分岐器を経て1本にまとまり京急線へ。(この辺は東急車輛製造の専用軌道区間です。)

(写真・右)横浜市道を斜めに横断する併用軌道。緑のカラー塗装が3線軌条を一層際立たせています。(線路はここから京浜急行の区間になります。)
標準軌と3線軌条の合流点

(右写真)片開き分岐器の一方だけが3線軌条なので,それ程複雑には見えません。写真の赤い電車は金沢八景駅(右上)に入る京浜急行の下り線電車です。

金沢八景駅から神武寺駅まで

(左写真)
六浦駅から神武寺駅に向かう新逗子行き下り電車,上り線が3線軌条になっています。写真の線路標には金沢八景の起点から1.8km,20‰の勾配が表記されています。
JR線逗子駅までの狭軌単線区間

3線軌条ではありませんが,連絡線がJR線に接続するところまで線路に沿った道路をジグザグに辿りながら行ってみました。
逗子駅に行く途中に専用線を横切る踏切があり,専用線のトンネルが見えます。

トンネル入り口の白い板には英語と日本語で「警告,・・・米国駐軍管理区域」と書かれています。現在も新たな問題が起こっていますが,基地問題で有名になった旧池子弾薬庫跡地はトンネルの左手奥です。
(右写真) トンネルの向こう側が神武寺駅で京浜急行(標準軌)の線路と分岐しています。

最新技術で製造された車輛の回送線という晴れがましいイメージの線路を想像していましたが,京浜急行の立派な3線区間を過ぎると感じが一変します。

旧海軍からの経緯もあると思われますが,米軍管理下の敷地内にある古い線路を一企業が肩身を狭くしながら車輌を通している・・・という感じです。
JR線逗子駅の合流点

Google マップの航空写真では合流点付近に踏切が写っており撮影できると思い現地に行きました。遮断機も警報機も無く人の通行も少ない道幅の狭い踏切でしたが,1本の連絡線と6〜7本のJR線の線路を横断する長い踏切です。

この踏切のすぐ横に連絡線と横須賀線が合流する分岐器があり,ポイント手前の枕木上の白い板に「米軍池子線」(逗子=神武寺間の正式名称?)の表記がありました。横須賀線側の線路は保線が行き届いていますが連絡線側はバラストもわずかで雑草やレールの錆も見え完全にローカル線です。電車の前方はJR逗子駅です。

(左写真)
回送線の終点,JR横須賀線に接続している個所のポイントです。

(注) 写真は立入りできる一般道路上か踏切から撮影しています。人影が無いのは日曜日の早朝や,平日の昼間に望遠撮影にしているためです。望遠は肉眼では読めない鉄道標識や上記「警告板」の文字でも後で拡大してみると判読できます。
2010.11.記
 
 

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