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   DD20形 補助機関車 

台車枠の製作

カーブでは左右の車輪は異なる回転速度になります。差動機を取り付けた台車枠は特殊な形です。

 製作する台車の概略

台車は右図のように差動機a を組み込んだ構造です。
左右の車輪を異なる回転数で回す(=左右独立車輪)のでチェーンb が2列に並びます。

差動機が付いた駆動軸(車軸)は1本の軸ではなく二分割されます。そのため,台車枠は通常のものよりも強度と精度が必要です。
差動機は4個のベベルギヤc をケース内に組み込んだ自動車と同じ構造です。

駆動用モーターは台車枠に載せ,モーターの回転は平歯車d によって2段減速し差動機に伝えます。

懸架装置は差動機の付いていない側の輪軸のみに取り付けます。車軸を挟んだ2本のシャフトe の一方を回転軸にし,コイルバネf を載せている側の軸が上下動 します。

 
1 台車枠の設計

 

自分で設計したものを作るときに障害になるのは,思うような材料を集めるのが困難なことにあります。
「基本構想を実現する設計」と言えば聞こえはよいのですが,実際には使用できそうな素材を見つけ出し,加工法を考え,目的の部品に仕上げる道筋を決める,一筋縄では進まない過程が設計です。

入手できた材料 によって思いついた構造を形にする。「自分で作る」ことの面白さでもあります。

この台車枠の材料はホームセンターに並んでいる普通の鉄材です。
台車の形と構造もこの鉄材の組み合わせになっています。

●ベアリングユニットや歯車,チェーンを鉄材に取り付けるとき,カット位置やネジの頭をどちら側に出すかまで細かく詰めて設計しないとコンパクトには纏められません。デザインは二の次,材料から形を決めて設計を進めます。

2 台車枠の製作

 

すべて建築用に販売されている鉄材なので,平面度,直角度はそれ程よくありません 。精度は組み立て方でカバーすることになります。
(写真左)定尺材を高速切断器でカットしてを4本,を2個,を4枚, を各々8個作ったところです。
  A/Cチャンネル38×12,板厚1.3
  B/Cチャンネル75×45,板厚2.4
  C/フラットバー幅48,板厚3
  D
-E
/等辺アングル
20×20,板厚3

A,B,,Cの部材は加工後,DとEのアングルを介して組み立てます。
出来るだけナットは使わず,ネジを切って組立調整が楽になるようにしました。
Bの穴あけは上記の設計図通りにはならず,実際には取り付ける部品に合わせながら大きさや形を決めました。
(写真右)
差動機を取り付ける車軸は4個のベアリングユニットによって支えられます。中央に差動機が入るので車軸は左右に2分されており,車軸の芯がずれないようにベアリングユニット固定の最終調整には長い1本のシャフトを通すなど,必要な対策がとれるようにしてあります。

 
3 懸架装置の設計*2

 

2本の車軸の内,差動機を取り付け る車軸は懸架装置を取り付け難いので固定軸としました。
他方の車軸のみが簡単な懸架装置で上下に動きます。

設計した懸架装置は右図のようにベアリングユニットを2本のシャフトabで結合し台車枠に嵌め込む構造です。

ベアリングユニットは台車枠に固定せず車軸cが荷重を受けるとシャフトaを回転軸にしてバネを載せたシャフトbと車軸cが上下に動きます。

シャフトaを回転軸にする構造は横方向(チェーン方向)にはたらく強い張力に耐えることができ,軸箱守も必要がないので懸架装置を簡単な構造で作ることが出来ます。注1

4 懸架装置の製作

 

簡単な構造で部品数もわずかです。製作時間もかからず,嵌め込むための(上記チャンネルBへの)穴あけに多少手間がかかる程度で思った以上に楽に作れる懸架装置でした。
ただ,ベアリングユニットと押しバネを購入するので,「低価格で自作する」そばな高原鉄道の製作方針からみると割高になります。

(写真)
懸架装置を仮組みした状態です。 左側のプレートがバネの上に載った形で台車枠に嵌め込まれています。

完成した台車枠

懸架装置と車軸/車輪を取り付けた台車枠の底面です。右側の車軸は上下に抜き取ることが出来,間に差動機を組み込みます。
チェーンはまだ付いていませんがスプロケットはボス部分を切り詰め車輪にネジ止めされています。

 

(注1回転軸をもつ構造の車軸受けは 軸箱を軸箱守で上下にスライドさせるより製作が簡単で,すでに乗用客車の車軸受けの構造で試みてい ます。

(製作費)
車輪(8個) 7600円/自作,車軸他(軟鉄棒) 650円,鉄材(フラットバー,C型チャンネル,等辺アングル )約800円,ピローブロック(12個) 11.300円,押しバネ(4個)800円 ,ネジ類200円
( スプロケットと塗装費を除く上写真の状態までの製作費)
合計21.350円

 

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基本構想駆動装置