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製 作

製作の主要な部分は3インチ半ゲージ用の2本のレール(内軌/尖端レール,外軌/曲線レール)です。

尖端内軌側レールは尖端レールの形状の図に従って削り出し,細部は現物合わせで手直しをします。
外軌側レールは半径の大きなカーブの中に小さなS字カーブが入る複雑な形なので,尖端側レールを基準にノギスで測定しながらすべて現物合わせで作ります。

●レールの切断と切削

尖端レールは強度の点では鉄の方が良いのですが,車輪の衝撃力を軽減する構造を取り入れるので,加工が容易で錆びないアルミで作りました。

(1) レール尖端部の切削
金鋸でレールの尖端部を大雑把に切り出します。
(写真左)レールのくびれた部分に 角材を当て,万力で挟むとレール にキズを付けずにしっかり固定できます。レールの頭を左右から対称的なV字型に切り,極力強度を落とさないようにします。レールの底部は隣のレールの底部 にあたる部分をカットします。

フライス盤を使い尖端を1.5mm幅まで削ります。
(写真中)フライス盤によって頚部の側面を左右対称にV字型に尖らせます。作業能率は落ちますが,金工用のやすりで削っても簡単に作れます。

(2) レール底部の切り取り
2本のレールの頚部の隙間が7mm以下になる箇所は,底部の幅を切り縮め る必要があります。
(写真右)金鋸かバンドソーで切り ます。バンドソーの場合,レールの下と側面に当て木をクランプで固定し,これに沿ってレールを滑らせると一定幅で綺麗に切れます。 グラインダーで削ってもよいのですが切り取る部分が長いと少し時間がかかります。

●レールの曲げ加工

(3) 5インチゲージ用レールの加工
5インチゲージ用レールは半径6.5mの円形です。円形レールは私の場合,レール曲げ器を使って曲げ加工します。


(4) 3インチ半ゲージ用レールの加工
3インチ半ゲージ用のレールは円軌道にS字カーブを重ねた複雑な形です。そこで,図形的なことは考えず2本のレールを並べてスラックを含む軌間を測定しながら現物合わせで曲げてしまいました。
 

 

●狭い範囲の曲げ加工
加工に使 っている木片・・・3インチ半 ゲージ用のレールは内・外軌共に部分的に曲率が変化する複雑な曲線レールです。 小さな2つの木片と万力(バイス)によってこの曲線を作りました。

(写真)枕木の端材/ウリンで凹凸の2枚の木片を作り,万力で挟んでレールを曲げます。 単純な形の木片ですが,1組で複雑な曲線にも対応出来ます。細かな修正も簡単です。
レールは一度に強く曲げないで,少しずつ曲げるほうが綺麗な仕上がりになります。
 
(5)  3インチ半ゲージ/尖端レールの曲げ加工
形状を決め易い尖端レール(内軌)の加工から始めます。
前ページの尖端レールの形状の図が基準ですが,5インチ ゲージレール(内軌)との現物合わせを優先して作りました。

(写真)木片 とレールを万力で挟んだ時の状態です。 万力で強く締めると強く曲がります。
何回か曲げてみると締め加減は直ぐに会得出来ます。
木片を左右に喰い違わせると先端レールのV形面を挟んだ木片の外側は平行面にすることができます。
(平行な万力の口でも先端レールのV字型の尖端部をしっかりくわえることができ るというのはちょっと面白いと思いました。)

(6) 3インチ半ゲージ/外軌の曲げ加工
上記(3)〜(5)で製作した尖端レールと5インチゲージ用レールを枕木上に仮組し,この線形に合わせて外軌側のレールを曲げ加工します。

(写真)
5インチゲージレールと3インチ半ゲージの内軌(尖端レール)は正確な位置に犬釘で仮止め しています。
3インチ半ゲージ・外軌は内軌との距離をノギスで測りながら曲げ加工をします。
この3インチ半ゲージ外軌は枕木上に置いてあるだけですが,ほぼ目的の形に近づきました。 この形になるまで繰り返し上記の木片を使って万力で曲げる修正を繰り返しています。
(7) ガードレールの製作
3インチ半ゲージ/外軌に合わせてガードレールを作ります。A形ガードレールと呼ばれる昔のタイプで,両端部は角を付けて鋭く曲げます。

レールを鋭く曲げる方法は,曲げる箇所の内側の底部に腹面近くまで切り込みを入れ,バイスに挟んで素手で曲げても綺麗に曲がります。

(写真)比較するために,加工済みの外軌とガードレールを直線レールと並べてみました。外軌は円弧にS字形を重ね合わせた線形です。
こんな形の曲線レールを径間誤差1mm以内に抑えて作るので,数式や図は役に立たずノギスを使った現物合わせに限ります

 製作メモ  〔レール〕●使用機材・・・・・金鋸,グラインダー,金やすり,ボール盤,(バンドソー,フライス盤があれば作業効率 はアップします。)
材料費・・・・アルミレール(4.5m)価格,約2800円,枕木・釘・ネジ・金具類約1800円,塗装費約200円
製作時間・・・・上記(1)尖端レールの製作,約5時間,(2)レールの曲げ加工,約20時間(枕木の下穴あけも含みます。)
余談・・・・レールの曲げ加工は 数センチの長さの部分のみを限定して正確に曲げるという作業の連続ですが,この作業には小さな木片(上写真)が意外に威力を発揮します。
木片は長さ10cm位に切ったウリン枕木を縦方向に円弧状に切断しただけのものです 。凹凸2枚でレールの頸(前頁・鉄道用語)を挟んで万力で適度にカシメると,右カーブ,左カーブ,曲率の変化するカーブ等が自由に作れます。レール型の断面 に対しても捩れは心配しなくてよいようです。
〔注〕ウリンはアルミよりは柔らかですが,曲げに対しての強度はアルミ以上です。対圧縮力も抜群の強さを持っています。重くて硬く,別名をアイアンウッドというのも納得です。 ここで使う木片は強度があればウリン以外の堅木でも可能だと思います。

 

 



設計製作組立