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組 立

安定した走行ができる移線器になるかどうかはこの組立に左右されます。
特に,尖端レールの取り付け位置と尖端部の間隙を慎重に決定しながら組立てました。
( 左写真)手製シックネスゲージです。両側の側面はそれぞれ4.8mm(5インチ ゲージ車輪のフランジ通過範囲)と3.8mm(3インチ半ゲージ車輪のフランジ通過範囲)の厚さになっています。製作・保線作業の時間と労力をかなり節約できます。

製作メモ
材料費・・・・真鍮引戸レール(山形),糸はんだ等で合計約80円
製作時間・・・・約1時間
余談・・・・真鍮の端材は捨てずに再利用しているので「飾り穴」まであります。ホームセンターにある引戸レールなどは,カット販売の金属材料よりも格安です。常時ストックしており,様々に活用しています。
(1) 3インチ半ゲージ用外軌の取り付け
取付け済みの2本のレールを基準にして,間に3インチ半ゲージの外軌を取付けます。
(右写真)

(2) ガードレールの取り付け


3インチ半ゲージ車輪のフランジ通過範囲を3.8mmとし,外軌とガードレールの間にスペーサーを入れてこの値を保つ様にネジ止めします。( 上写真)
シックネスゲージで間隙を測りながら,尖端レールを3mmトラスネジで枕木に取り付けました。 この状態で台車を走らせると,ガタンと音を発しながら無事通過します。(右写真)
移線器の滑らかな通過(話が少し細かいので適当にパスして下さい)

問題点
この移線器の最大の弱点は3インチ半ゲージ・尖端レールに欠線部があることで,次の障害が起こります。
[A] バックゲージの小さな車輪は一瞬,軌間内に”脱線=空中走行”します。
[B] すべての車輪が欠線部から尖端部に進む際,尖端部に”衝突”します。
1軸の車輌は存在しませんから他の車輪でAはカバーできますが,質量,速度が増すとBの衝撃力は等比級数的に増加し,レール尖端の損傷にもつながります。

「傾向と対策」
この衝撃力の主な原因は車輪踏面のテーパー(鉄道用語で「踏面勾配」)のためと考えられます。車輪が欠線部から尖端部に進入する際のスラックの変化は設計値で6.3mmあり,車輪踏面の接触位置が車軸方向に6.3mm変化します。これは実質的に車輪半径が瞬時に増加したのと同じで,車輪が尖端部に”衝突”する原因になります。

解決策としてフランジを踏面代わりに利用すれば,欠線が無くなるので”脱線”状態が存在しなくなり,スラックによるレール尖端部への”衝突”もおこりません。
見方を変えるとこの「フランジ走行」は正真正銘の脱線状態ですが,一応制御されています。

(3) フランジ走行板を製作
そばな高原鉄道の車輌でフランジの高さを測定すると,差異は僅かでした。したがって,特別な車輌が走行するとき以外,走行板の高さ調整は必要が無い ことになります。

フランジが走行する板の位置と形は現物合わせで製作しました。
(右写真)引戸用アルミレールを台にして,内軌側を下り勾配にし,真鍮製の斜面をのせます。表面を平滑にするため,裏面を鈎留めとし,1ヶ所は平ネジ留めです。真鍮面は敷き板によって勾配と面高を調整することも可能です。
(注)写真の中央下に写っているのは上記(3)と(5)のスペーサーです。スペーサーはニッケル管をカットし,ネジは径3mmです。

(4) フランジ走行板の評価
製作した走行板を取付けて台車を走らせると,レールを転がる音以外には音も無く,ショックも皆無で移線器通過をまったく意識させません。

青ニスを真鍮板に塗ってフランジの当りを調べてみました。
(右写真)数回,フランジの回転を止めて擦った跡を写してあります。車輪はタイヤ踏面からフランジ外周に滑らかに移行していることが分かります。
真鍮板の最下端にはフランジの当たった位置が光って見えますが, この部分の真鍮板は下方に曲げられるようになっており,レール尖端部を山にしてフランジ通過方向の両端を谷にした複斜面にすれば完成です。

(5) 完成した移線器
(尖端レール部)
 

製作メモ ●使用機材・・・・・バンドソー,金鋸,金やすり, はんだ鏝
材料費(走行板)・・・・引戸用アルミレール(10cm) ,ニッケル管,ネジ,真鍮板 約300円
製作時間・・・・上記(1)〜(5)約5時間,(6)約2時間
余談・・・・尖端レールとして説明を記したレールは分岐器の尖端トングレールとは断面がかなり異なります。また,可動の意をもつトング(舌)レールでもないので区別するために尖端(固定)レールとしました。

フランジ走行板で滑らかな通過を試みましたが,手抜きの方法もあると思います。尖端レールの頭頂部を車輪の踏面勾配に合わせて低くすると ,尖端レール通過時の車輪半径の変化をレール側で吸収し,揺れは増しますが衝撃力は軽減される筈です。ただし,バックゲージやタイヤ幅が大き目の車輪に限られます。

 

 


設計製作組立