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設 計

そばな高原鉄道の線路は3本レールのデュアルゲージで,89mm(3吋半)ゲージの機関車が127mm(5吋)ゲージの車輌を牽引して走るなど,異ゲージ車輌の混成列車で走行させることを前提にしています。

このような混成編成で走らせること自体に問題はありませんが,途中に移線器があると通過する車輌に合わせて移線器を頻繁に転轍する必要があり,転轍の自動化などの対策も講じます。

自動転轍 の方法は,私と鉄道模型〔21〕自動移線器に構想から設計までを記しました。
トングレールを固定したA形移線器では転轍の機構を省略しているタイプで,この問題は生じません。

 自動移線器の作動の説明

127mmゲージ車輌の通過時

自動移線器<B型移線器>の構造は下図Aのようになります。特徴はトングレールが2本(R1,R2)のあることと,レールの両端2箇所に回転軸O1O2があることです。
この回転軸O1,O
2は固定された軸ではなく,白抜き矢印の向きに力を受けると軸が移動することで,移動する軸と反対側の軸を中心に回転できるようになっています。

通常はバネによってレールR1,R2は図Aの位置に保持されます。(この位置を鉄道用語では「定位」と言うようです。)
定位であれば127mmゲージの車輪は移線器の有無に関係なく,通常のレールと同じ状態で通過します。

ただ,車体の横揺れ等によって,R1,R2に強い横圧
が働くとO1O2は白抜き矢印方向に移動する可能性があるので,横圧の作用を防ぐためにガードレールG1によって車輪を正しい方向に誘導します。

  89mmゲージ車輌の通過時 

通常,トングレールは定位(上図Aの状態)に保持されていますから,移線させる必要がある89mmゲージの車輪が通過するときにトングレールを動かします。

●輪軸がに通過する際のトングレールの動きは下図Bのようになります。

図の左側から進入した輪軸がトングレールR1に達すると片側車輪がガードレールG2によって誘導されるので,輪軸からトングレールに力F1が作用します。この力でO1を軸にしてトングレールは白抜き矢印の向きに動き,輪軸は89mmのレールに緯線します。輪軸の通過後,引きバネによってトングレールは定位に戻ります。

●輪軸がに通過する際のトングレールの動きは下図Cのようになります。

定位になっているトングレールに輪軸が進入するのでR2(側)を通過します。輪軸の進行に従い輪軸には横圧(力F2)がはたらき,O2を回転軸にしてトングレールは白抜き矢印の向きに押し開かれます。通過後,引きバネによってトングレールは定位に戻ります。

 B形自動移線器の設計

軌きょうの設計

下図が設計した移線器の主要部です。トングレールを2本の平行レール(R1,R2にすることで,違和感のある鈍端トングレールが使われているのが分からないようにしました。

視覚的な条件として,レールは連続性を確認するようにずっと先の方まで辿って眺めることが多いような気がします。そのようなとき,切れ目なく続いている姿がもっとも自然だと思います。設計ではこの連続性のイメージを損なわないようにしました。
下図のように,何処が移線器なのか見分けがつかない形になります。


機能面で重要なのはトングレールの長さです。実際に使用した上で最適な長さを求めるのがよいのですが,試作段階では2つの要素に絞って考えてみました。

(1) 異種車輌の混合編成では先行車がトングレール区間を通過中に後続車が進入することは避けなければなりません。そのため,トングレールの長さは車輌(車輪)間の距離によって最大値が決まります。

(2) トングレールの長さは線路の曲率に関係しますから,短くするとトングレール区間で89mmゲージのレールを強く曲げる(曲率が大き い)線形になってしまいます。曲率との兼ね合いでトングレールの最小値が決まってきます。

トングレールを長くするための方法として,問題が発生した時には異種車輌間の連結に腕の長い連結器を補助的に使うことも考えられます。

結局,枕木間隔(77mm)による制約もあり,335mmにしました。設計した各部のサイズは下図のようになります。
注:輪軸に横圧を作用させるガードレールG1,G2は現物合わせで最後に取り付けますので,図には描いてありません。設置場所の都合で移線器は緩いカーブの中に組み込 みます。枕木間隔が平行でなく,扇形に開いているのはそのためです。

可動/回転軸の設計

この自動移線器はトングレールの両端に回転軸があり,左右どちらからの進入に対してもスプリングポイントと同じ動きをさせる必要があります。難しい条件のように思いましたが検討してみると単純な構造でもこの動きをする回転軸が作れそうです。

図が設計した回転軸の構成部品A,Bです。この部品と2本のバネ(引きバネと押しバネ)を使います。
架台(部品A)は2本の平行トングレールを一体化する目的と回転軸の取付金具を兼ねています。
取付台(部品B)は鍵穴形をした長穴に回転軸を通して架台を載せる板です。
軸が穴の末端にあるときは回転軸になり,長穴の途中では車輪からの横圧を受けると架台が移動します。

作動の説明(右から左に輪軸が進む場合)

下図の右側から89mmゲージの輪軸がトングレールの回転軸aの所まで進んできたとします。このとき,軸aは押しバネc で長穴の末端(図の上端)に力f1 で押されていますから支障なくトングレール部に入ります。
その後,輪軸の進行に伴ってトングレールは横圧(力F )を受け軸aを回転軸に して押し開かれます。

はじめ,軸bは引きバネd の力f2 で末端(図の下端)に引かれており,押し開きはf2F との力のモーメントの関係で決まります。f2 が極端に大きいと押し開きがおこなわれる前にF が原因となって脱輪する心配もあります。対策はf2 を最小値に調整することや,軸a手前にスラック(≒3mm)をとって,トングレール進入直後のF が大きくならない様にします。(下記,

89mm輪軸通過後,トングレールはバネdによって定位に復帰します。
127mmゲージの輪軸の通過時に横圧が作用するのを防ぐために127mmレール側にガードレールを設けます。

(注)スラックの効果

上図のトングレールに作用する力
F 2 をグラフに描いてみました。
F の作用点が移動するのでF 2 は簡単な式では表せません。フランジの形状も関係しますが概略が分かればよいので,簡略化したグラフです。

グラフの縦軸Y は力,横軸
X は回転軸aから輪軸が進んだ距離です。
トングレールの長さを
L ,力F 線,力 2 線になります。

黒線は xY =C(一定)の双曲線で赤線はこれに近似した線形になります。

赤の点線はスラックがない場合のF を表し,軸a付近x ≒0F が極端に大きくなることを示しています。(大きなF は車輪を浮かせ,脱線の原因になります。)

そこで,区間 0xx 0 にスラックを付けることで横圧(=
Fが作用しないようにします。(赤線のように,スラックF の極大値を安全な値まで小さくすることができます。)

十分に衝撃力を和らげるスラックの値は設計段階では見当が付きません。衝撃はトングレールの長さ
L と輪軸の通過速度V にも関係しますから,値を3mm程度で製作し,実際に走行して衝撃が許容できる最高速度を決めることになります。

スラックはカーブを曲がりやすくする(参考:大径車輪-小径車輪)目的だけでなく, このような場所では衝撃力を大幅に減らす手段になることが面白いと思いました。
グラフ(=数値化)は,どの箇所のスラックを幾らにすればよいかも表しています。ここではx =0 でスラックを極大,徐々に減らして,xx 0 でスラックを 0 にするレール配置がよいと考えられます。(=直感 )に頼ったのでは曖昧にしてしまう点を意識させるので,「ものづくり」には必要な要素だと思います。

 
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