そばな高原鉄道軌条の敷設分岐器組立(表示中)

 
 鈍端トングレール分岐器

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分岐器は様々な形の短いレールを組み合わせて作ります。 この鈍端トングレール分岐器は基本レールを短くして基本レールの代わりに鈍端トングレールを入れる構造なので一層短いレールが多くなります。組立てる際は短いレールは長いレールよりも 正確な位置に取り付けるのが難しくなります。
組立の手順
 
部品となる各レールは加工時に枕木の上に並べて仮組みを繰り返し,相互の関係を調整してあります。したがって,レール自体の修正はほとんど無く軌間を正しい値にすることや,セパレーターの長さを微調整するのが主な作業です。

レールを枕木に固定するのは径3mm,長さ10mmのネジ(ワッシャーヘッド)です。整形の段階で取り付け位置のネジ穴も開けますが,ネジを枕木にねじ込む角度でレールの固定位置を少しずらすことが出来ます。場所によっては1mm位の補正も可能なので一度組立ててから再度取付け直すこともやっています。ネジ穴が大きくなりすぎたり修正が上手く出来ないときはネジの長さを16mmのものに変えたり,枕木をひっくり返して新規にネジ穴を開け直す方法もとります。


組立作業は場所をとるので屋外で行い,作業台は4×4材の柱をテーブルの上に平行に2本並べてその上で組立てました。2本の柱は分岐器の形に合わせてV字形にも出来るのでとても良い作業台になります。

下図が組立てる分岐器の全体図です。尖端トングレール分岐器の場合,左右両端のレールが長い1本のレール(=主レール+基本レール)なので一体化できますが,鈍端トングレール分岐器ではこの長いレールがありません。
3つの部分から構成し,土台付き枕木部分を挟んで2つの軌きょうを前後から取付けます。組立の手順も通常と異なり,下図赤数字の順番に組み立てます。
鈍端トングレールは転轍する機構と共に取付けるので組立は一番最後になります。

 

1  普通枕木と土台付き枕木による軌きょう

土台付き枕木参照はアクリル板にネジ止めして一体化してあるので全体的な強度はありますが,個々の枕木は薄い板なのでレールの保持力は十分ではありません。
分岐器の軌きょうを隣の軌きょうに接続する箇所の枕木としては固定に不安があるので,この部分に通常の枕木の軌きょうを組み込んで,それを隣の軌きょうにつなぐことにしました。

(写真)薄型枕木(番号:0,−1,−2)と通常枕木(番号:−3,−4)に3本のレールを渡して組立てた軌きょうです。これでアクリル板の土台とも強固に一体化しています。

 

2 共用レールと5インチゲージのレール取付け

デュアルゲージの軌きょうを組立てるときは,先ず共用レールを取り付け,次に5インチゲージのレール,更に3インチ半ゲージのレールの順にします。
軌きょうの曲率は枕木とレールの結合位置をずらすと簡単に変わるので,3インチ半よりも5インチレールを先に取り付けて形を整えた方が全体の形がうまく出来ます。

分岐器の場合は特に レールの配置が正確でなければなりません。共用レールと5インチゲージのレールで配置を決め,台車を走らせてみます。問題が無ければ3インチ半のレールを取付けます。

3 曲線(分岐側)レールの取付け

クロッシング角に合う様に,先ず5インチゲージのレールを取付け,次に5インチ用レールを基準にして共用レールを取り付けます。
(写真/左)共用レールと5インチゲージのレールを取り付けました。角パイプのクロッシングも直線レールの中に入っています。

(写真/右)共用レールと5インチゲージ用のレールがネジ止めされました。

4 3インチ半ゲージのレール取付け

3インチ半ゲージのレールの取り付けは共用レールとの関係(軌間89mmに ネジ止めする)だけで決められると思っていましたが,分岐器では5インチゲージのレールとの関係も考慮しないとうまくいきません。
クロッシングやガードレール,ウイングレール等は両方のゲージの車輪が関係するので当然ですが, このことをすっかり忘れていました。

127mmゲージの台車に最適な配置でも89mmゲージの台車では修正が必要であったり,双方の兼ね合いで妥協出来る配置にします。

(写真)3インチ半ゲージ用のレールは位置決めの簡単な所から取り付け始め, 細かな調整が必要な個所にすすみます。

5 5インチゲージのリード&ウイングレールの取付け

分岐器にはスラックがないのが普通ですが,急曲線の(番数の小さい)分岐器では厳密に軌間を127mmにするとフランジがガードレールに当たるなど支障もおこります。クロッシング以外の所では滑らかに通過出来るように適度のスラックがあった方がよいようです。

6 3インチ半ゲージのリード&ウイングレールの取付け

5インチゲージのリードレール途中には回転するトングレールが入るので厳密に取付け位置を決めますが,3インチ半ゲージのリードレールは他との関係が無 いので余裕をもったスラックにしました。
本来のスラックの意味とは違い,スラックとしての効果の程は知れています。車輪を回りやすくするための「余裕」です。

7 トングレールに挟まれる短いレール

両端が2種のトングレールに接続する短いレール(番号=7 写真は取り付けスペース が狭く,固定方法に困ります。設計を変更して枕木を1本追加し,レールを長くしました。2本のレールに対して8本のネジで止めます。

(写真)
鈍端トングレールも仮に取り付けて回転させながら,番号5,6,7のレールを固定していきます。

組立て後の外観

電動で転轍する機構は未取付けですが,完成した 本体部分です。目に付く特徴は鈍端トングレール分岐器は車輌の進行方向が一目瞭然になります。

アクリル板を土台にした薄型枕木の部分はアクリル板のわずかな反りでもトングレール端 末の隙間に影響 しますから運搬時は丁寧に取り扱う必要があります。
それ以外は普通の分岐器と変わりなく,平らなコンクリート路盤に設置した状態では特に問題になることは無さそうです。
また,外観が悪くなることを心配していたアクリル板と補強アングルは見落としてしまう程で気になりません。走行車輌から見る角度からは下写真のようになります。

機能面では尖端トングレールに比べて鈍端トングレールは強度があり,トングレール部分での異線侵入がなくなるので 安心感があります。

問題点もある鈍端トングレール分岐器は日本では使用されていませんが,模型の条件下ならば短所よりも長所が活かせると考え製作してみました。分岐器としてある程度の期間使用して 問題点を調べてみます。

(写真/左)この分岐器の設置場所では直進方向が駅に向かう基準線(鉄道用語),曲線側が迂回 線に進む分岐線(鉄道用語)として使用します。基準線ではレール面の凹凸もそれ程気にならず減速せずに通過 しても問題がなさそうです。

(写真/右)
鈍端トングレールは直線状のレールなので,急曲線になっている分岐線側ではトングレール部分が折れ曲って見え,多角形の一辺のようになります。

 分岐器2台(右方分岐と左方分岐)を同時に組立てて写真を撮りましたので左右双方の写真が混ざっています。製作順番号1,5,6,7の写真は左方分岐,2,3,4と上の写真は右方分岐の分岐器です。

製作材料
 アルミレール(8m) 枕木(イペ板材:105×20×1300mm,セラガンバツ板材:105×15×600mm)
ネジ(ワッシャーヘッド径3,長10mm約200本) 鉄角パイプ(16×16×330mm) アルミアングル(10×10×1000mm) 各種ネジ,真鍮パイプ(径4mm) アクリル板(5×300×600mm) 

材料費(概算
) レール5,000円 枕木1,500円 ワッシャーヘッド650円 鉄角パイプ150円 アルミアングル250円
ネジ類200円 真鍮パイプ50円 アクリル板1,200円 塗料800円   合計9,800円

片開き分岐器 組 立



レール電気転轍機