そばな高原鉄道軌条の敷設分岐器>写真(表示中)

 振り分け分岐器
電動転轍

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手動転轍で使用していた振り分け分岐器を電動化することにしました。モーター駆動による電気転轍機を枕木に追加して載せる程度の手直しです。
電動化の条件

デルタ線の分岐器を統括して転轍する方法を《私と鉄道模型-20》に記しましたが,この振分け分岐器 もデルタ線の中の1台として使用することになり,手動から電動に改造しました。

統括して転轍する方法は電子回路ではなく,複数のスイッチによって複数の直流モーターの極性を +と反転させ ,状況に応じて各モーターが正・逆回転することを利用します。

そのためは駆動用モーターを共通の規格にする必要があり,3Vの直流モーターを使います。回路についても複数のモーター電流をON-OFFし,極性を反転させるスイッチ回路を共通に取り付けます。

モーター駆動の方法

モーター によって転轍するには回転運動を直線運動に変換する構造をどの様にするかがカギになります。
特に小型モーターは回転数が大きく転轍棒をゆっくり往復運動させる動力源としては不向きです。

この高速回転を減速する手段はウォームギャの使用が効率的です。ただ,市販品は種類が限られており適当なものを入手するのは困難です。

方法として《ウォームを⇒ボルト》,《ウォームホィールを⇒ナット》に置き換えることで回転運動をゆっくりとした往復運動にすることができればウォームギャを使うよりも製作はずっと楽になります。(右図)

予め統括転轍に使用するモーターと適当なボルト/ナットで条件に合う動きになるかを調べてみました。

●直流モーター(マブチRE-280使用の場合):適正負荷時の回転数は 6600〔r/min〕=110〔1/s〕 (この適正負荷は15g・cmと強力です) 

●ボルト/ナット(3mm並ネジ使用の場合):ネジ山のピッチは 0.5〔mm〕です。
モーターは1秒間に110回転しますから,モーターシャフトに3mm長ねじ直結して回転させると,ナットは1秒間に 110〔山〕=110×0.5=55〔mm〕 移動します。

トングレールを動かす転轍棒の移動範囲を7mm,移動時間を 0.6秒とした場合,3mmナットの動きを転轍棒に伝える(リンクする)梃子を入れ, 梃子の腕の長さの比を4.7:1にすれば条件の値になります。(下記,基本設計図のリンク梃子部を参照)

実際のモーターではスイッチONから最高回転までにタイムラグがあり,負荷の程度,電池の電圧降下なども関係してきますからもっと動きは遅くなります。
仮に,ナットの移動速度が55mm/sから40mm/sになったとしても,梃子の腕の長さの比を3.4:1にすればよいので梃子の支点位置を変えた調整で済みます。

基本設計

「設計」の前提として,入手できる材料の範囲で,難易度が低い加工で作ります。自作能力を越えたものを模型鉄道を望まないので可能な形を模索します。

基本設計が決まった段階で製作に着手し,細部の「設計図」は材料と「相談」しながら描くことになります。

基本設計は下図のようになります。完成している分岐器に転轍器を後付けするので形に制約があります。モーター とボルト・ナット(ウォームギャに相当)は枕木の間の空いたスペースに収まる配置です。

2個のマイクロスイッチは駆動部が完成してから実際に動作させて最適な位置を調べて取り付けます。

これまで,軌きょうの上は”絶対歩くことはない”と思って設計していましたが,線路内に立入る人が限定されていても,うっかり踏んでしまい厳守するのは難しい 状況です。

それなら,一寸くらい踏んでも壊れない様に作る方が気楽です。増設する箇所は頑丈で耐候牲のある塩ビパイプを使うことにしました。

モーター駆動部は簡単な構造ですが重要なのはモーター・シャフトと3mmボルトの回転中心線が完全に一致していなければなりません。塩ビパイプを使用すると強度,耐候性だけでなく中心線を一致させることが簡単にできるのが別の利点です。

●塩ビパイプは内径25mmのものを使うと円筒形モーター(マブチRE-280)を収めるのに最適のサイズです。モーターの固定が簡単で,モーター ・シャフトはパイプの中心線と一致します。

●モーターと同じ直径の25mm円板をパイプ内に嵌め,円板の中心に回転軸(3mm長ネジ使用)の軸受を付けます。 このようにすれば特に調整 しなくてもモーターシャフトと長ネジの回転軸は一直線上で一致します。

 

部品製作
 

(1) ねじ摺動部(ナットとリンクレバー)

ウォームギャの替わりに長ボルトとナットを使う方法は円弧(ウォームホイール)を直線(長ボルト)におきかえることでもあり,問題も生じます。

説明のために,ウォームホイールをナット+レーバーに置き換えた形で右図を描いてみました。

いま,ナットが長ボルト上を点PからQに移動するとすると,点Qまでのレバーの長さはRから凾窒セけ増加し,長ボルトとレバーのなす角度もθに変わります。
半径が変わるウォームホィールは不可ですから θ≒0 の範囲に限定しないと,長ネジをウォームギャの代替にすることは出来ません。

半径Rと角度θの変化を滑らかに吸収しながら伝達するリンクは 図Aの形になると思います。 ただ,可動部が多く小型化し難い構造です。

そこで, 滑らかさに欠けますが簡略化した図Bの方法で摺動部を作ることにしました。

リンクではなく,ナットに取り付けたピン(図の赤丸)がレバーのU字形の溝の中をスライドして半径Rと角度θの変化に対応します。

駒とリンクレバー頭部
長ねじの回転によって移動する駒(=ナット)は5mm角の真鍮棒で作りました。
駒の上下に立てるピンには強い力がはたらきます。ねじ止めにする厚さがないので銀ロウ付けにしました。
(写真,左側)


駒をスライドさせるリンクレバーの摺動部(頭部)は真鍮チャンネルと板材の銀ロウ付けです。
この部分,」真鍮角材をフライス盤で加工して作るのが普通かもしれませんが, 真鍮形材を銀ロウ付けで作るとずっと簡単に作れると思います。(写真,中央)
 
(2) モーターシャフトと長ねじ

モーターは長ねじを高速回転させます。両者の回転軸が完全に一致することと回転軸から偏心した位置に部品を付けて振り回すことが無いようにしました。

ジョイント部
モーター(マブチRE-280)のシャフト径は2.0mm,長ねじの径は3.0mmです。
各種のジョイントがありますが,ゴムジョイントは大きなトルクに不向きでスプリングジョイントは正/逆回転に対応しません。
ユニバーサルジョイントは大型で重心が偏心した位置のままで回転するおそれもあります。

(右写真) ゴムジョイント程度のあそびのある接続でよいので,真鍮パイプにナットを銀ロウ付けした部品で小型ジョイントを作りました。

長ねじホルダー

(右写真) 長ねじを塩ビパイプの軸の位置に保持して回転させるためのホルダーです。
径25mmの座金の3ヶ所に3mm鉄棒を通して半田付し,円板の中心には軸受をねじ止めしました。


(左写真) 製作 途中の段階で各部品を塩ビパイプに収める状態に並べてみました。 ほぼ

駒の動きにリンクするレバー頭部の移動範囲は長ねじ方向に30mm,ねじと直交する方向には1mm程度です。1mm程度なら頭部をもう少し小型にすることが可能で,大きく作り過ぎています。
 
2013.7.20 ******************************************************

(3) 取り付け

長ネジ上をスライドする駒の動きは駒に取り付けたレバーによって,既設のリンク機構に伝えら れます。手動で動かすためのワイヤーを取り外し,ワイヤーが付いていた部品にレバーを付けるので,最小の手直し(ねじ1本の取付け)での交換です。

(写真) 手動ワイヤーから電動転轍機に交換した状態です。青色の塩ビパイプにモーターと長ネジ部分納められ,下方にアルミ板製のレバーが出ています。レバーの下端が既設のリンク機構に繫がっています。

写真に写すと鉄レールとアルミレールの違いがより鮮明にでます。電動転轍機の位置が基本設計と違いますが,電動転轍機から出すレバーを上方に向けると基本設計の配置にもなります。リンク機構も調整前なので,このトングレールの配置では脱線します。

 
分岐器 電動転轍

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