そばな高原鉄道軌条の敷設分岐器>設計 (表示中)

振り分け分岐器
設計

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この分岐器は半径の異なる左右の円曲線に分岐する振分け分岐器と呼ばれる形で,3インチ半ゲージと5インチゲージのデュアルゲージ,3線式です。
普通の両開き分岐器片開き分岐器よりも線形が複雑になり,3線式でもあるのでレールの形や配置,枕木の長さなどは計算によって設計しました。
(1) 分岐器の形と材料

路盤の形に合わせて基準線(鉄道用語)は半径12.0m,分岐線(鉄道用語)は半径5.2mの円で分岐器を作ります。
写真:路盤の幅は40cm,分岐線
(左側)の方が小半径ですが基準線(右側)は通過後に急カーブに入るので曲がりが強 いように見えています。

使用レールはトングレールとノーズレールが鉄,その他はアルミです。

枕木はセラガンバツー材,間隔は77mm(高原鉄道規格)です。構造上一部の間隔を狭くしてあります。組み立ては犬釘とトラスネジを場所によって使い分けます。

(2) 設計に使う計算式

レールと枕木の長さ,配置を決めるため,次の簡単な計算式を使いました。

右図で,直線OPに半径Rの円が点Oで接するとき,OP間の距離yとPQ間の距離xは,次の近似式で表されます。

(この式は 
レール>曲率の測定にある式 の変形です。)

(3) 基本構成の計算 (次の[1]〜[4]は下の基本配置図を描くための計算方法の説明です。)

[1]  基準線は半径12000mm(=12m),分岐線は半径5200mm(=5.2m)で枕木の間隔は実寸の1/8.4に相当する77mmを標準にしました。

[2]  分岐起点の枕木番号をn=0 とし,順番に通し番号n を付けます。以下,この番号n は縦軸(上図のy軸)の目盛り代わりにも使いながら設計,製作します。

[3] 通し番号n の枕木上を通る基準線および分岐線の通過点を各々,XaXbとし,(2)の式に条件の数値を代入して整理すると,次式が得られます。〔単位mm〕
    
Xa=(77n)2÷(2×12000)≒0.25n2
    Xb=(77n)2÷(2×5200)≒0.57n2     ( n=0,1,2,3,・・・・)  

[4] 番号n の枕木の XaXb を上式で求めると下表のようになります。これらの値から基本配置図を描きます。〔単位mm〕

n  Xa   Xb  Xa+Xb

  −  −    0
  −   1    1
  1   2    3
  2   5    7
  4   9   13
  6  14   20
   9  21   30
n Xa   Xb  Xa+Xb

 7  12 28  40
 8  16 36  52
 9  20 46  66
10 25 57  82
11 30 69  99
12 36 82 118
13 42 96 138
n Xa   Xb  Xa+Xb

14 48 111 159
15 55 128 183
16 63 146 209
17 71 165 236
18 80 185 265
19 89 206 295
20 99 228 329

図でXa+Xbの値とレール,枕木配置の関係は

03:レール頭部の幅は8mmなので枕木までは頭部の幅を削ったトングレールです。
4     :レール底部は15mmなのでリードレールが設置できるのは枕木以降になります。
12
13軌間127mm≒
XaXbとなる付近が5インチ ゲージのクロッシング交点です。
18 標準枕木の長さは250mmなので,基準線と分岐線の枕木は18以降分離できます。

(4) 3線・振分け分岐器(全体図)*1

求めた基準線,分岐線にしたがってレールを描くと下図のようになります。枕木間隔を77mmで製作して問題がないようです。(機能と実感的にする為に 下図のように枕木を追加して配置しました。)
下図で,分岐器の中央部には緩和曲線やスラックがありませんが,トングレール尖端の厚み(≒1mm)と分岐器に続く急カーブに備えて図の数値が記入してある箇所ではスラックを含んだ値にします。

クロッシングの交点を計算するのは大変で,現物合わせで決めることにし数値を入れてありません。
上表のXaXbから計算してみると,この分岐器の振り分け率は3:7,番数は3インチ半ゲージのクロッシングが4.5(≒5)番(番数の計算式=(1/2)cot(θ/2)≒(1/2)×77/(99-82)÷2=4.5),5インチゲージが3.9(≒4)番になります。

 参考資料 分岐器についての知識が無く,調べることからから設計を始めました。文中の分岐器に関する専門用語・知識は,Webサイト=〈鉄道用分岐器技術の交換ページ〉Webサイト=(京急建設/保線屋のよもやまばなし)を参考にさせていただきました。上記サイトは, 検索サイトからご覧ください。(閲覧の可否,最終確認は2007年5月)
分岐器 設計

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